2013/03/11
片頭痛は早期に適切に治療しないと進行して慢性化することがわかってきました。医学系雑誌Nikkei Medicalに片頭痛の特集が掲載されておりましたのでまとめてみました。
片頭痛は不適切な治療や加齢で進行し、3割が慢性化するといわれております。片頭痛の慢性化には脳の器質的な変化が関連すると考えられています。すなわち、脳内の痛み調節システムが異常を来し、痛み刺激に感作された状態(通常では痛みと感じない刺激すら痛みとして認識する)が生じます。
慢性化した患者の約半数は薬物乱用が原因と分析されています。薬物乱用頭痛の原因として最も多いのは市販の鎮痛薬の乱用ですが、医師が日常的に処方する鎮痛薬やトリプタン系薬によっても薬物乱用頭痛は生じえるとされています。
頭痛急性期の鎮痛薬の使用が月に10回未満であれば薬物乱用頭痛のリスクには全くなりませんが、月に半分以上服用している場合は薬物乱用頭痛を生じるリスクが高いとされています。なお腰痛や生理痛など、頭痛以外の目的で服用する鎮痛薬でも、合計の服薬日数が増えれば薬物乱用頭痛を招きかねないので注意が必要です。
また、一昔前までは片頭痛は若年女性に多く、閉経と共に治癒すると考えられていましたが、加齢に伴っても片頭痛は慢性化することが指摘されています。慢性化した頭痛の中には、肩こりやめまい、不眠などの緊張型頭痛様の症状が片頭痛に加わり、片頭痛の症状が変化することがあり、中高年の方の頭痛の中には片頭痛のなれの果ての慢性頭痛の可能性があります。
薬物乱用頭痛の発生を防ぐためには、適切に予防薬を組み合わせる必要があります。予防薬として有効な薬剤として、抗てんかん薬、降圧薬、抗うつ薬などがあり、積極的な活用が必要であることが強調されています。なお片頭痛に対する予防療法導入の目安として、頭痛日数が月に15日以上、服薬日数が10日以上では必要と考えられています。
当院通院中の60代女性は、毎日朝から頭痛発作が生じるため連日鎮痛薬を服用しておりましたが、予防薬2種類の追加によりやや鎮痛薬の必要性が減っているようです。