高松市成合町の内科・消化器内科・心療内科・精神科 大饗内科消化器科医院

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栄養、特にアミノ酸とフレイル/サルコペニア

日本抗加齢医学会雑誌2016No5で「フレイルとアンチエイジング」が特集されました。その中から「栄養、特にアミノ酸とフレイル/サルコペニア」(小林久峰 味の素株式会社研究開発企画部シニアマネージャー)をまとめてみました。

健康を維持するための予備能が低下した状態が「フレイル(虚弱)」であり、高齢者が要介護状態に陥る前段階で、適切な介入によって健康な状態に戻ることができる不可逆的状態です。
フレイルの身体的要因については、加齢による骨格筋量の減少と筋力・身体機能の低下(サルコペニア)の占める割合が大きいとされます。

飢餓や疾病などによる侵襲時においては、骨格筋はタンパク質の分解によってアミノ酸を供給し、エネルギー産生などに利用されます。すなわち、栄養不足とフレイルには相互に因果関係があり、それをサルコペニアが仲介しているといえます。

アミノ酸の中でロイシンが筋タンパク質合成のトリガーとして筋細胞内の哺乳類ラパマイシン標的タンパク質複合体1(mTORC1)を活性化し、筋タンパク質合成を促進します。
なお、高齢者ではタンパク質摂取に対する筋タンパク質合成反応は減弱しており、最大反応を得るには若年者よりも多くのタンパク質の摂取を必要とします。

日本人の疫学データでは、タンパク質(特に動物性タンパク質)摂取量が多いほうがフレイルの発症リスクが低下することが報告されており、高齢者が骨格筋を健康に維持するにはより多くのタンパク質を摂取すべきです。

また、1回当たりのタンパク質摂取量の増加に対し、筋タンパク質合成反応には上限があることから、1日当たりではタンパク質を十分摂取している場合でも、3食のタンパク質摂取量が偏っている場合は、均等に摂取している場合よりも筋タンパク質同化の総量が少なくなると考えられています。1食ごとに十分な量のタンパク質を摂取している場合に、骨格筋の量が多いことが報告されており、1食当たりのタンパク質摂取量を考慮すべきです。

高齢者では食欲の低下などにより、タンパク質やアミノ酸のサプリメントによる補充が有効であると考えられます。

必須アミノの中でもロイシンは、細胞内の同化反応を制御するmTORC1を活性化し、タンパク質同化刺激因子として働きますが、ロイシンに対する筋タンパク質合成反応は、加齢に伴って低下します。そのため、高齢者の筋タンパク質合成を促進するため、必須アミノ酸混合物中のロイシンの含量を40%に高めたロイシン高配合必須アミノ酸混合物(Amino L40)が考案され、より大きな筋タンパク質合成を引き起こすことが確認されました。

Amino L40は少量で効率的に高齢者の筋タンパク質合成を促進します。
健康な日本人高齢者が、レジスタンス運動に併用してAmino L40を1日1回および2回摂取した場合、移動能力の改善が用量依存的に認められました。
サルコペニアが顕在化した日本人高齢女性を対象とした試験でも、運動とAmino L40摂取は、筋量、筋力、歩行速度の改善に相乗的に作用し、すべて有意に改善しました。
サルコペニアは、栄養などの筋タンパク質同化刺激に対する筋タンパク質合成反応が減弱することによって起こりますが、Amino L40は効率よく高齢者の骨格筋タンパク質合成を引き起こします。

当院でも、フレイル/サルコペニアを呈した患者様にAmino L40の購入(ネットで購入できます)をお勧めしており、要介護状態に陥るのを防ぐための一助になればと考えております。