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アンチエイジング

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EDなんて恐くない

2018年5月に開催されました日本抗加齢医学会総会のシンポジウム、「EDなんて恐くない」というセッションに参加してきましたので、発表内容を以下にまとめてみました。

EDは加齢のみでなく、動脈硬化や血管内皮障害を始めとする生活習慣病と関連します。
すなわち、EDのリスクファクターとして、糖尿病、高血圧、肥満、睡眠時無呼吸症候群、慢性腎臓病などが挙げられます。

糖尿病では血管内皮障害が早期から出現します。糖尿病ではEDの有病率が高く(64%)、ED初診の34%は耐糖能異常を認めます。なお、糖尿病を対象とした研究では、長い座位時間を有する人は運動習慣があってもEDが増加することがわかっています(すなわち、立っていないと勃起しなくなる)。20ー30分毎の5分程度の立位や歩行・スクワットなどの筋トレがよいとされています。

うつ症状、夜間排尿回数とEDは正の相関を、運動習慣はEDと負の相関を認めます。

肥満は独立したEDのリスクファクターで、運動や食事で減量することによって勃起機能が回復するとの研究が多くあります。

睡眠時無呼吸症候群も独立したEDのリスクファクターで、治療介入により勃起機能は有意に回復します。なお、バイアグラなどPDE-5阻害薬には鼻閉の副作用があり、睡眠時無呼吸症候群が悪化することがありますので注意が必要です。

アルコールはEDに対する予防的効果があるとされますが、少量の飲酒でも血管内皮機能が低下するとの報告もありますので、飲みすぎは禁物です。

タダラフィル(5mgは商品名ザルティアで前立腺肥大改善薬、20mgは商品名シアリスとして勃起不全改善薬)には、動脈硬化・血管内皮機能改善効果、インスリン抵抗性改善効果も認められ、前立腺肥大・勃起機能改善効果を併せ持つ、アンチエイジング薬と位置づけられます。

血管内皮機能を高めるレスベラトロールは、長寿遺伝子であるSIRT1を介して陰茎海綿体平滑筋細胞内のNOを高めることから勃起力を高める可能性が示唆されております。

2018-07-26 08:31:00

アスタキサンチン摂取による記憶能の向上

2016年の抗加齢医学会総会のランチョンセミナーにおいてアスタキサンチンが取り上げられましたので、その元になる発表(筑波大学)をまとめてみました。

 

アスタキサンチンはエビ・カニなどの甲殻類やサケに豊富に含まれている天然の赤い色素で、強力な抗酸化作用をもたらす次世代の天然サプリメントとして期待されています。

 

マウスを使った実験で、アスタキサンチン摂取は濃度依存的に海馬の神経新生を高めました。また、4週間のアスタキサンチン摂取により、マウスの学習能力および記憶能力の有意の向上が明らかとなりました。

 

さらに、アスタキサンチン摂取による海馬の神経新生と、認知機能が高まるという機序を説明する新たな分子機構が想定されました。そのうちアスタキサンチン摂取による海馬機能向上の分子機構の一つとして推定されたII4は、アルツハイマー病の原因とされるβアミロイドに対する除去能力に関与することが報告されています。したがってアスタキサンチン摂取によって高まるII4経路が、アルツハイマー病における海馬機能の低下を予防・改善する可能性があります。

 

当院では認知機能の低下が危惧される患者様に、アスタキサンチン摂取を勧めています。

 

2017-05-29 16:09:15

栄養、特にアミノ酸とフレイル/サルコペニア

日本抗加齢医学会雑誌2016No5で「フレイルとアンチエイジング」が特集されました。その中から「栄養、特にアミノ酸とフレイル/サルコペニア」(小林久峰 味の素株式会社研究開発企画部シニアマネージャー)をまとめてみました。

健康を維持するための予備能が低下した状態が「フレイル(虚弱)」であり、高齢者が要介護状態に陥る前段階で、適切な介入によって健康な状態に戻ることができる不可逆的状態です。
フレイルの身体的要因については、加齢による骨格筋量の減少と筋力・身体機能の低下(サルコペニア)の占める割合が大きいとされます。

飢餓や疾病などによる侵襲時においては、骨格筋はタンパク質の分解によってアミノ酸を供給し、エネルギー産生などに利用されます。すなわち、栄養不足とフレイルには相互に因果関係があり、それをサルコペニアが仲介しているといえます。

アミノ酸の中でロイシンが筋タンパク質合成のトリガーとして筋細胞内の哺乳類ラパマイシン標的タンパク質複合体1(mTORC1)を活性化し、筋タンパク質合成を促進します。
なお、高齢者ではタンパク質摂取に対する筋タンパク質合成反応は減弱しており、最大反応を得るには若年者よりも多くのタンパク質の摂取を必要とします。

日本人の疫学データでは、タンパク質(特に動物性タンパク質)摂取量が多いほうがフレイルの発症リスクが低下することが報告されており、高齢者が骨格筋を健康に維持するにはより多くのタンパク質を摂取すべきです。

また、1回当たりのタンパク質摂取量の増加に対し、筋タンパク質合成反応には上限があることから、1日当たりではタンパク質を十分摂取している場合でも、3食のタンパク質摂取量が偏っている場合は、均等に摂取している場合よりも筋タンパク質同化の総量が少なくなると考えられています。1食ごとに十分な量のタンパク質を摂取している場合に、骨格筋の量が多いことが報告されており、1食当たりのタンパク質摂取量を考慮すべきです。

高齢者では食欲の低下などにより、タンパク質やアミノ酸のサプリメントによる補充が有効であると考えられます。

必須アミノの中でもロイシンは、細胞内の同化反応を制御するmTORC1を活性化し、タンパク質同化刺激因子として働きますが、ロイシンに対する筋タンパク質合成反応は、加齢に伴って低下します。そのため、高齢者の筋タンパク質合成を促進するため、必須アミノ酸混合物中のロイシンの含量を40%に高めたロイシン高配合必須アミノ酸混合物(Amino L40)が考案され、より大きな筋タンパク質合成を引き起こすことが確認されました。

Amino L40は少量で効率的に高齢者の筋タンパク質合成を促進します。
健康な日本人高齢者が、レジスタンス運動に併用してAmino L40を1日1回および2回摂取した場合、移動能力の改善が用量依存的に認められました。
サルコペニアが顕在化した日本人高齢女性を対象とした試験でも、運動とAmino L40摂取は、筋量、筋力、歩行速度の改善に相乗的に作用し、すべて有意に改善しました。
サルコペニアは、栄養などの筋タンパク質同化刺激に対する筋タンパク質合成反応が減弱することによって起こりますが、Amino L40は効率よく高齢者の骨格筋タンパク質合成を引き起こします。

当院でも、フレイル/サルコペニアを呈した患者様にAmino L40の購入(ネットで購入できます)をお勧めしており、要介護状態に陥るのを防ぐための一助になればと考えております。

2016-12-27 17:55:04

栄養と認知機能アンチエイジング

日本抗加齢医学会雑誌2016.04に、認知機能とアンチエイジングが特集されました。その中から、「栄養と認知機能アンチエイジング」(大塚 礼〔国立長寿医療研究センター〕)をまとめてみました。

認知症の発症には食事要因も関連すると考えられています。

地中海食が認知機能低下の要請因子であることを示す多くの観察研究があります。メタ解析では地中海食の強い集団はそうでない集団に比べ、認知機能障害の発症リスクが33%低下すると報告されています。地中海食の定義は、おおむね「季節折々の野菜、豆類、果物、種実類を多く摂取し、オリーブ油を主たる油脂として使い、魚介類や豚肉、乳製品(チーズやヨーグルトなど)は適量を、赤身肉は少なめに、食事中に適量の赤ワインを摂取する食事」を指します。

国立長寿医療研究センターでは1997年から老化・老年病予防を目的とした「老化に関する長期縦断研究疫学研究」を実施しています。 最近の検討では、乳製品やあるいは乳製品に多く含まれる短鎖脂肪酸や中鎖脂肪酸の高摂取が認知機能低下を抑制する可能性が見出されています。一方、穀類(ごはん・めん類・パン)摂取量が多いほど、認知機能低下リスクは増加します。言い換えると、摂取量に占める穀類摂取量の割合が高い、たとえば、めん類のようにおかずが少ない、穀類中心の食事を摂る傾向にある人は、認知機能低下のリスクが増大するということです(つまり、うどんやそば・ラーメンだけの食事は認知機能を低下させるということで、めん類を食べるときは、ごはん類などの穀類以外のトッピングが重要だということです)。

脂肪酸の中でも血清DHA(ドコサヘキサエン酸)濃度が低い群では10年後の認知機能低下リスクが高いこと、食事由来のDHA摂取と血清DHA濃度には正の相関があることから、DHAを多く含む青魚などの摂取は認知機能低下を予防する可能性があることが示唆されます。

最近では、単一の食品や栄養学的要因ではなく、さまざまな食品を摂取すること(食品摂取の多様性)が認知機能の維持に役立つ可能性を示唆する結果が得られています。

生活習慣病予防の観点からは、「減塩日本食」がよいことが報告されています。すなわち「米飯を中心とし、魚、肉、豆、野菜を豊富に含んだ日本食」から塩分摂取を控えた減塩日本食は、高血圧予防、動脈硬化性疾患予防、そして認知機能低下予防に少なからず貢献しうる食事であると考えられます。

欧米諸国では「地中海食」が認知症予防に有効と考えられていますが、日本人が古来営んできた独自の食生活を踏まえれば「季節折々の野菜、果物、豆類をたくさん取り入れ、魚介類も乳製品も積極的に、そして塩分は控えめにした身近な日本食」が、日本人の認知症予防のみならず健康寿命延伸にとって有効な食事と考えられます。

 

2016-11-08 10:35:06

中高年男性うつ病とテストステロン

日本抗加齢医学会雑誌(2016年vol12)に「男性のアンチエイジングとテストステロン」が特集されました。その中から「中高年男性うつ病とテストステロン」(渡部芳徳ら)をまとめてみました。

男性更年期障害(LOH症候群)は、中年男性の男性ホルモン(テストステロン)低下に伴う、身体症状(身体の痛み、筋力の低下)、精神症状(抑うつ気分、不安、不眠)、性機能症状(性欲減退、勃起力の低下)を主体とします。

LOH症候群は30代後半から増えますが、特に中高年男性のうつ症状と関連します。
LOH症候群治療の基本はテストステロン補充療法です。うつ症状に対してテストステロン補充のランダム比較試験により、うつスコアの有意な改善を認めたとの報告があります。本論文の執筆者、渡部氏のクリニックでは、抑うつ気分の男性患者さんのうち加齢男性症状スコアが高値の患者さんにはフリーテストステロン値を測定し、低値の場合はテストステロン補充療法も考慮しているということです。

うつ病患者さん(特に中高年男性)は、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を合併しやすい上、これを悪化させやすいとされます。こうした患者さんの背景にあるうつ病を治療しないと生活習慣病の改善は望めません。中高年男性の生活習慣病治療には、背後に潜むうつ病の存在に気づくことが重要です。

うつ病などの気分障害患者は非常にバランスの悪い食生活の人が多いとされます。気分障害との関連が示唆されている栄養素は、葉酸を含むビタミンB群、EPA・DHAなどのn-3系脂肪酸などです。

葉酸はビタミンB群の一種で、葉酸不足による脳梗塞や認知症、大腸癌との関連が指摘されています。ビタミンB群は男性のうつ症状と負の相関、双極性障害の身体症状と負の相関を示します。

n-3系脂肪酸は脳内リン脂質として存在します。 n-3系脂肪酸 などの不飽和脂肪酸が男性において不安症状と負の相関を示し、双極性障害患者においてn-3系脂肪酸が不安症状と負の相関を示します。

気分障害、特にうつ病・双極性障害患者さんの復職や再発予防に食事療法を行う意義があると考えられています。

2016-07-12 12:01:15

男性医療とアンチエイジング

2016年2月14日の日本抗加齢医学会講習会の「男性医療とアンチエイジング」(永井 敦・川崎医科大学泌尿器科)をまとめてみました。
 
男性ホルモンとして重要であるテストステロンのうち、遊離テストステロンが保険診療で測定可能です。
 
遊離テストステロン低値は、加齢・不健康な食生活(肉・揚げ物・ファストフード)に関連します。
低テストステロンと重大な心血管系疾患が相関し、また血中テストステロン値が低いと死亡率(全疾患)、心血管系疾患死亡率、癌死亡率が高いことが報告されています。
テストステロン低値患者にテストステロン補充療法を行うことにより死亡リスクが減少します。
なお、テストステロン補充療法は前立腺癌、睡眠時無呼吸症候群患者などでは禁忌となります。
 
下部尿路症状と低テストステロンは関連し、低テストステロン患者にテストステロンを補充すると排尿症状・蓄尿症状が改善し、残尿量も減少(メカニズムは動脈硬化改善・血流改善)します。なお3回以上の夜間頻尿の男性は早死にすることが報告されています。
 
70代日本人の71%がED(勃起障害)です。EDは種々のリスクファクター(高血圧、糖尿病、脂質異常、喫煙、肥満など)に加え低テストステロンが危険因子となります。
EDのリスクファクターの排除はアンチエイジングにつながります。EDは万病の元、あなどってはいけません。
 
ED治療薬であるPDE5阻害薬(バイアグラ・レビトラ・シアリス)のポテンシャルとして、骨盤虚血改善(⇒頻尿、排尿障害改善、前立腺肥大症改善)、記名力改善、血管内皮細胞リハビリ、テストステロン値上昇が挙げられます。
血中血管内皮細胞前駆細胞が低値であるほど有意に心血管イベントによる死亡率が高まりますが、タダラフィル(シアリス)投与により血中の血管内皮前駆細胞が増加し、また血流依存性血管拡張反応(FMD・血管年齢)が有意に改善します。
 
PDE5阻害薬で治療中のED患者には前立腺癌の発症率が少ないことが後ろ向き7年間の研究で証明されています。
PDE5阻害薬は前立腺の低酸素状態を改善させること、またPDE5阻害薬により頻回の射精をすることが低酸素状態を防ぐこと、これらにより前立腺癌の発症を抑える可能性があります。
 
動脈硬化/血管障害と前立腺肥大は関連があるとされ、射精(=前立腺の血流改善運動)は前立腺肥大症(癌)を抑制しアンチエイジングにつながります。週に2回以上セックスする人は心血管疾患発生率が少ないとされています。
 
ただし、男性は不倫により急性心筋梗塞の発症が増加すること、婚外性交が家庭内性交より急性心筋梗塞の発症が多いことが報告されていますのでご留意ください。
 
 

2016-02-18 17:54:00

ED薬は習慣的に飲むべきか?

2014年に前立腺肥大に伴う排尿障害に対して、低容量PDE5阻害薬(勃起不全薬タダラフィル〔商品名シアリス〕の低用量薬〔商品名ザルティア〕)が認可されました。PDE5阻害薬には、今回認可された前立腺肥大症、周知の勃起不全(ED)改善以外にも、抗加齢に関与するような様々な作用が報告されています。
日本抗加齢医学会雑誌(2014.Vol1)に「ED薬は習慣的に飲むべき?」(堀江重郎、金木正夫)という誌上ディベートが掲載されていましたのでまとめてみました。
 
勃起現象は、まず性的刺激により副交感神経が活性化し、一酸化窒素(NO)が血管内皮細胞で産生されます。NOは、血管平滑筋細胞で環状グアノシン一リン酸(cGMP)を産生する可溶性グアニル酸シクラーゼを活性化し、cGMP産生を増加させます。cGMPは血管平滑筋の弛緩を促し、血管の拡張を引き起こします。その結果、血液が陰茎内部に流入することにより勃起が起こります。
一方、ホスホジエステラーゼ(PDE)は、前記のようなしくみで産生されたcGMPを分解する酵素であり、血管の拡張反応を適切に調節するためにcGMPを分解します。
現在ED薬として使われているPDE5阻害薬は、cGMPの分解を抑制することでcGMPの量を増やし、血管平滑筋の弛緩を促進することにより、血管拡張作用を引き起こします。
 
他方、なぜEDが生じるかというと、心理的な要因は別として、器質的なEDの大部分は、陰茎の海綿体平滑筋の弛緩不全による血管拡張反応の低下、つまり血管内皮機能不全が成因となっています。ですから、血管の拡張反応を促進するPDE5阻害薬がEDの改善につながるわけです。
 
EDであることは血管内皮機能の低下と考えられ、男性では早くも40歳過ぎに血管内皮機能の低下が始まります、EDは少なくとも陰茎の細い血管で血管内皮機能の低下が始まっていることを意味しており、将来、より太い血管での血管内皮機能が低下し、虚血性心疾患や脳梗塞を起こすリスクファクターとなります。
 
血管拡張反応の低下をきたす血管内皮機能不全は、動脈硬化の進展に重要な役割を演じています。PDE5阻害薬は血管内皮機能を高めるとともに、血管内皮前駆細胞数を上昇させることが証明されており、血管内皮の再生を高めることが予想されます。さらに、cGMPは心血管系だけでなく、脳神経系を含めすべての細胞で細胞内情報伝達物質としての役割を担っています。したがって、PDE5阻害薬は心血管系の病気はもちろん、認知機能の低下、脳梗塞後の血管新生促進作用、加齢に伴う筋肉減少(サルコペニア)など、さまざまな病気に対して効果を有する可能性が考えられています。
また、PDE5阻害薬は定期的に服用すると酸化ストレスを減少させます。これはヒトでも動物モデルでも実証されています。さらに精巣でのテストステロン産生を増加させます。また、耐糖能が改善し、排尿障害を改善します。
 
ただし、PDE5阻害薬のさまざまな病気に対する臨床試験は世界中で行われていますが、現在までにエビデンスが得られている疾患は、ED以外では原発性肺高血圧症と前立腺肥大のみです。
 
また、PDE5阻害薬には、頭痛、ほてり、消化不良などの副作用があり、頻度は少ないもののStevens-Johnson症候群などの重篤な副作用も報告されています。さらに、心筋梗塞や狭心症に対して用いられるニトロ製剤は、PDE5阻害薬との併用により血圧低下の危険があるため、原則として併用は禁忌です。また、降圧剤や前立腺肥大症治療薬として交感神経α遮断薬(商品名カルデナリンやハルナールなど)を服用している場合にも、併用禁忌か慎重投与が必要になります。
 
血管内皮機能を改善し、酸化ストレスを軽減し、テストステロン(男性ホルモン)産生を増加させ、耐糖能と排尿障害を改善するPDE5阻害薬は究極のアンチエイジング薬の可能性があり、必要時(on demand)のみでなく定期的に服用すべき薬かもしれません。しかし、まだ十分なエビデンスが揃っておらず、副作用や併用禁忌・注意薬のある薬ですので、医師による診断と処方が必要です。
 

2015-03-24 17:54:00

肥満・食習慣が医療費・介護費に及ぼす影響

健康増進を通じた予防的なアプローチにより国民の健康水準が向上し、医療・介護に対するニーズが減少すれば、医療費・介護費も減少するのではないか、という期待の元に疫学的研究が実施されています。表題のような論文(遠又靖丈他)が日本抗加齢協会誌「医と食」に掲載されましたのでまとめてみました。
 
1994年から約5万人の国保加入者(40~79歳)、2006年から65歳以上の宮城県大崎市の住民を対象に、生活習慣と介護発生との関連が分析されました。本稿では、その中から「肥満と医療費の関連」と「日本食と要介護発生の関連」の研究が紹介されています。
 
肥満度と医療費の関連
BMIを18.5未満、18.5~20.9、21.0~22.9、23.0~24.9、25.0~29.9、30以上の6つのグループに分けて1ヶ月あたりの平均医療費を算出したところ、医療費が最も低かったのはBMIが21.0~22.9のグループでした。このグループに比べて、BMIが25.0~29.9の過体重では9.8%、30.0以上の肥満では22.3%の医療費上昇がみられました。
平成23年度の国民医療費38兆円にあてはめた場合、1.2兆円が肥満(BMI 25.0以上)の影響によるという試算になります。
 
日本食と要介護発生の関連
日本食パターンの疫学研究によってこれまでに脳卒中死亡、抑うつなどとの関連が報告されています。食品別でも、日本食の主な構成成分と考えられている大豆・魚介類・緑茶は脳卒中、認知機能低下、転倒骨折において予防的な関連があることが報告されています。これらの疾患は要介護状態に至る要因として知られていることから、日本食パターンと新規要介護認定との関連が宮城県大崎市の2006コホート研究のデータより検証されました。
「日本食パターン」として魚・野菜・きのこ・いも・海草・漬物・大豆製品・果物が、その他に「動物性食品パターン」、「高乳製品パターン」が抽出され新規要介護認定発生との関連が検討されました。その結果、日本食パターンの度合いが高い高齢者では新規要介護認定のハザード比が有意に低値で、その他の食事パターンでは有意な関連が認められませんでした。なお日本食パターンについては、先行研究に基づいた別の方法でも検討されましたが、やはり日本食パターンの高い者で有意な要介護発生のリスク減少を認めました。
 
要介護認定者における費用額は一人あたり年換算で190万円であることから、食事内容の改善により健康寿命延伸と要介護期間が短縮できるとすれば相当な金額の介護費節減が期待されます。
 
香川県はうどん摂取率が日本一であることはよく知られていますが、実は菓子パンの人口当たり摂取率も日本で最も高い県であるといわれています。当院の患者様も朝は洋食の方が大変多い印象です。朝食がパン食の患者様には、将来介護に至る危険が高まることをお話して、日本食へ切り替えるよう勧めています。
 
 

2014-05-23 15:59:00

AGEsと生活習慣

AGEsは、NHKの「ためしてガッテン」でも取り上げられ、健康寿命を伸ばすためにも注目されています。日本医事新報(No.4659 2013.8.10)に「AGEsと生活習慣」(山岸昌一)が掲載されていましたのでまとめてみました。
 
糖尿病では、老化のプロセスが進行し心血管合併症や骨粗鬆症、アルツハイマー病、癌、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)などの発症リスクが上がってくること、非糖尿病患者に比べて「健康寿命」が約15年短く、死亡のリスクが1.8倍上昇することなどが知られています。最近、この分子基盤に糖化反応の亢進、つまり終末糖化産物(advanced glycation end products;AGEs)の形成、蓄積の亢進が関わっていることが明らかになってきました。
 
グルコースなどの還元糖は、蛋白質や脂質、核酸のアミノ基と非酵素的に反応してシッフ塩基、アマドリ化合物を形成します。その後この反応は緩徐に不可逆的な脱水、縮合反応を繰り返し、AGEsを形成するに至ります。
 
慢性的な高血糖状態では、循環血液中や組織でAGEsが促進的に形成、蓄積されます。AGEsは、コラーゲンなどの蛋白を悪玉架橋させ、その機能を劣化させるだけでなく、細胞表面受容体であるRAGE(receptor for AGEs)によって認識され、酸化ストレスや炎症反応を引き起こします。
さらに、食後高血糖のスパイクに伴って形成されるグリセルアルデヒドに由来するAGEsはRAGEへの結合活性が高く、より強力に臓器障害を起すことが報告されています。
 
AGEsは、酸化ストレスや高血糖下で内因性に産生されるだけでなく、外因性に食品や喫煙からも摂取され、食事・タバコに由来するAGEsのうち6~7%が、ある程度の期間生体内に残存することが明らかにされています。食事に由来するAGEsの摂取量を制限することで炎症反応が抑えられ内皮機能が改善すること、長寿遺伝子が活性化されることが知られています。さらにカロリー制限をしなくともAGEs制限食を摂取させることでネズミの寿命が延長すること、また、いくらカロリー制限を行っても同時にAGEs制限を行わない場合は、寿命の延長効果が認められないことなども報告されています。
 
生体内に蓄積されるAGEsを制御していくには、①食事に伴う血糖値の上昇をできるだけ抑えること、②AGEsを多く含んだ食品を摂取しないようにすることが重要です。

早食い、どか食いは、食後の急峻な血糖値の上昇をもたらします。できれば定食系のメニューを選び、野菜や海藻類など繊維質のものから食べ始め、ご飯類を最後に食べるように心がけます。またソバ、玄米などの低GI(glycemic index)食品を摂取することも大切です。さらに食後の運動を習慣づけることも血糖上昇を抑えます。
 
肉製品や脂肪に富む食材を高温で揚げたり、焼いたりした際、AGEsが多く生成されることが知られています。一方、水分を多く使って時間をかけ、蒸したり茹でたりする調理法はAGEsの生成を抑えます。焼肉やステーキよりしゃぶしゃぶを、焼き餃子より水餃子を選ぶ方が望ましいということです。
 
一般的に、ファーストフードの類は高カロリー、高脂肪で、食材を高温で加熱調理したものが多く、避けるほうが無難です。また、ブドウ糖に比べ、果糖は約10倍AGEsを形成しやすいとされ、フルクトースコーンシロップを多く含む炭酸飲料も避けたい食品の1つといえます。
 
 

2014-03-30 09:39:00

体型・身体活動とがん

日本抗加齢医学会雑誌(2013.No6)に「エビデンスに基づいたがん予防」が特集されました。その中の「体形・身体活動とがん」(溝上哲也)をまとめてみました。
なお、論文では世界のエビデンスと日本での研究が分けて述べられていますが、以下は日本の研究のみをまとめたものです。
 
肥満
全がんでは、男性では肥満よりもむしろ痩せに伴う癌リスクの上昇が顕著です。BMI23~25に比べて、19未満、19以上21未満、21以上23未満の癌死亡の相対危険は、1.44、1.23、1.10でした。ただし追跡開始5年以内の死亡を除いた解析では、痩せた群でのリスク上昇の度合いが若干低下したのに対し、肥満者の相対危険は1.29と有意に上昇しました。女性においては有意なリスク上昇はBMI30以上の肥満者のみに認め、痩せに伴うリスク上昇は認めませんでした。
 
大腸癌については、男女ともBMIが25を超えると大腸癌リスクが上昇し始め、BMI23~25に比べて30以上の相対危険度は男性1.5、女性1.3で、肥満との関連は、女性より男性で、また直腸より結腸ではっきりしていました。
肥満が大腸癌を引き起こすメカニズムとしましては、腫瘍増殖作用や抗アポトーシス作用を有するインスリンやインスリン様成長因子(IGF)が過剰に分泌される、あるいはこれらの生物学的利用能が上昇することによる、という「内臓脂肪-インスリン仮説」が有力です。このことは糖尿病患者における大腸癌のリスク上昇によっても支持されます。
 
乳癌では、追跡開始時の肥満度およびその後の体重変化については、いずれの体格指標とも閉経後乳癌のリスク増加が観察されました。すなわち、追跡開始時のBMIが5増加するごとにリスクが31%高まり、その後のBMI変化が5増加するごとにリスクは32%高まりました。なお、閉経前乳癌ではそのような関連は認めませんでした。
 
肝癌では、BMI25以上の肥満者をそれ以下の者に比べた相対危険度は1.7で、肥満が肝癌のリスクを高めることは「ほぼ確実」と判定されています。
 
身体活動
全がんリスクとの関連の分析では、活動レベルが最も低い群に比べて最も高い群のハザード比は男性0.89、女性0.84と統計学的に有意に低下していました。部位別では、男性では結腸、肝臓、膵臓で、女性では胃でリスクが低下していました。
 
大腸癌では、男性において身体活動の増加に伴う結腸癌リスクの低下を認め、特に近位結腸(上行・横行結腸)でのリスク低下が顕著でした。
 
乳癌では、毎日1時間以上歩き、かつ週1時間以上運動する最も活発な群は、いずれにも該当しない不活発な群に比べ、乳癌リスクは55%低下していました。
 
肥満・身体活動とがんリスクとの関連を支持する多数の疫学的証拠がありますが、痩せすぎががんのリスクを上げることにも注意を払う必要があります。
体重を適正範囲に維持することや日常生活における身体活動を高めることががん予防策として推奨されます。
 
 

2014-01-25 17:17:00

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