2013/03/26
日本内科学会雑誌(2013年2月)に動脈硬化症がテーマに取り上げられましたので、当院でも行っております血管機能検査についてまとめてみました。
心臓足首血管指数(CAVI、いわゆる血管年齢)は、血管の硬さを表す指標で、生活習慣病と呼ばれる高血圧、糖尿病、脂質異常症、メタボリックシンドローム、肥満患者のいずれにおいても上昇しています。
高血圧患者へのカルシウム拮抗薬やアンジオテンシンⅡ受容体遮断薬といった降圧薬投与によりCAVIは改善することが報告されています。
糖尿病患者ではCAVIは血圧に関係なく高値を呈し、抗糖尿病薬あるいはインスリン治療により改善します。
メタボリックシンドロームでは構成因子保有数が増えるにつれて有意にCAVIは上昇します。
喫煙者のCAVIは高く、禁煙により低下します。
CAVIは虚血性心疾患における冠動脈重症度の独立した危険因子であると報告されています。
CAVIは生活習慣病などの軽症の動脈硬化症から虚血性心疾患や脳血管障害などの重症の動脈硬化症まで幅広い患者において、動脈硬化の程度を定量的に知ることができます。
四肢の動脈に閉塞性病変が生じると間欠性跛行(運動時に出現する下肢の痛みで、安静時には消失)などの虚血症状が出現しますが、このような末梢動脈疾患(PAD)の診断に用いられるのが足関節上腕血圧比(ABI)です。ABIの低下(足の血圧が腕の血圧より低くなる)は、PADの患者では95%の感度を有す、有力な情報となります。なおPADにおいて症状のない無症候者が有症候者の3-4倍みられるとされ、注意が必要です。またABIはPADの診断のみならず、心血管疾患発症の強力な予測因子と考えられています。
CAVI、ABIを同時に測定する医療機器があり、外来で簡単に測定できます。動脈硬化症の評価のために、また現在行っている治療の有効性を確認するために、血管機能検査を定期的に行うことをお勧めします。