2013/04/07
中国における鳥インフルエンザウイルスの患者の発生が報道されています。ウイルスに対する抵抗力にビタミンDが必須なことは基礎研究で証明されています。また、ビタミンDを摂取することによりインフルエンザ罹患率が減少したことが報告されています。抗加齢医学会雑誌等に掲載されたビタミンDについての記事をまとめてみました。
ビタミンDはホルモンと同様に強い生理的活性作用を有し、癌や動脈硬化という二大疾患の予防や治療のためには欠かすことができないものとされ、また、うつ病、自己免疫疾患、感染症、サルコペニアなどさまざまな疾病に対して有効性が証明されています。
ビタミンDは、紫外線を浴びることにより皮膚で合成されるほか、食品から補給することができます。
加齢に伴い皮膚でのビタミンD合成能力は低下しており、70歳代の皮膚でのビタミンD合成能は20歳代と比較して25%に減少しています。
食品中のビタミンDには、茸類に含まれるビタミンD2と、魚類など動物種に含まれるビタミンD3があり、人体に対してはビタミンD3の方が3~4倍以上の生理活性があります。
すなわち、ビタミンDは太陽光に当たるか、魚を食べるか、いずれかの方法によってしか血液濃度を維持することはできません。
ビタミンDの過不足を知るための適切な指標は、ビタミンDが肝臓で代謝されて生じる25(OH)D3濃度とされています。至適濃度は40~60ng/mlと考えられており、最低でも20~30ng/mlを維持することが望ましく、20 ng/mlを下回る場合には病的に低値であるとされています。東京の満尾クリニックの成績では初診時25(OH)D3濃度が20 ng/ml未満であった患者は全体の34%に達したということです。なお1日1000IUのビタミンD3製剤の摂取により25(OH)D3濃度は10 ng/ml程度上昇するとされています。
疾患との関連では、慢性筋肉痛と低ビタミンD血症との関係、ビタミンDレベルとうつ病との関係、ビタミンD濃度が低い患者では大腸癌の発生頻度が高い、などが報告されています。また、ビタミンD濃度が高い男性ほど総/遊離テストステロン濃度が高いと発表されています。米国で行われた調査では、血中ビタミンD濃度が15 ng/ml未満の小児~思春期の若者は、30 ng/ml以上の子達に比べ、ピーナッツ、ブタクサ、オークアレルギーに2~5倍かかりやすいと報告されています(成人では血中ビタミンD濃度とアレルギーの相関性はみられなかった)。
筆者は、魚を毎日食べており、ほとんど毎日昼休みに近所の里山に登っておりますので、血中ビタミンD濃度は十分であろうと考えておりましたが、血液検査を行ったところ20 ng/ml代前半と正常下限でした。ビタミンD3をサプリメントで補充しようと考えています。