2015/09/11
マラソンにおける心停止の話が、MEDICAL ASAHI(ERリポート 有吉孝一)に掲載されていましたのでまとめてみました。
白川らによれば、国内で開催された過去10年間(2002~11年)のマラソン競技で107例の心停止が発生し、その生存率は53%でした。また、心停止はゴール地点37%、レース3/4以降31%と、レース後半に多いということです。
米国での調査によりますと、マラソン中の心停止は10万人当たり2.03人(2005~2010年)で、他の運動競技に比べてリスクが高いわけではありませんが、年々増加しているようです。
原因は肥大型心筋症が最も多く、次に多い心筋梗塞よりも予後が悪いということです(肥大型心筋症は心エコーで簡単にわかりますから、マラソン競技者は一度は循環器内科で確認しておいた方がよいかもしれません)。
作家の村上春樹氏は、マラソンについて「僕がいつも決めてやっているのは、最後の400mを全力疾走することです。どんなきついレースでも、どんなコンディションでも、そのときに出せる最大のスピードで全力疾走します、それは一種の礼儀であり美学だと思っているから」と述べているそうですが、ゴール地点で心停止が多いことを考えると危険な走り方といえるでしょう。
なお、別のかなり古い文献によりますと、マラソンにおいて30km以降で血圧が急上昇する例があるそうです。このような例も心停止に至る可能性があります。レース中にリスト型の血圧計で自分の血圧の変化を確認してみるのがよいかもしれません。