2017/09/12
2016年の抗加齢医学会総会のランチョンセミナーにおいてアスタキサンチンが取り上げられましたので、その元になる発表(金沢大学)をまとめてみました。
国内患者数が2000万人と推定され、肝臓の生活習慣病といわれる非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、肝臓に脂肪が沈着した単純性脂肪肝と、単純性脂肪肝に炎症を発症した非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に分類されます。NASHは5~20%が肝硬変や肝がんへと進行します。
マウスを使った実験では、NASHを引き起こす高コレステロールの餌にアスタキサンチンを混ぜた群は、インスリン抵抗性(メタボリック症候群の大元の原因)が弱まり、肝臓の脂肪沈着が約50%減少しました。さらに脂肪沈着によって生じる脂質の過酸化(酸化ストレス)が80%以上抑制され、脂肪肝からNASHの発症が抑えられることが判明しました。
次に、NASHを発症させたマウスに、餌にアスタキサンチンを混ぜたものを与えると、肝硬変につながる肝臓の炎症や線維化が80%近く改善し、治療効果を示すことが判明しました。
臨床試験においても、NASH患者においてアスタキサンチン摂取により肝臓の脂肪蓄積が抑えられていることが確認されています。
当院では、高度の脂肪肝患者様、ヒアルロン酸値上昇・フェリチン値上昇・血小板数減少などからNASHへの移行が危惧される患者様に対し、アスタキサンチン摂取を勧めています。